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契約書の翻訳がユニークなこと その1

2013年7月13日

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東京の事務所を一つ隣の部屋に移転したのに合わせて、ホームページをリニューアルしました。

ブログといふものも、してみようかな、と思い立ちました。ここには過去ブログも載ってますが、これは既にホームページに掲載していた記事を埋め草的にブログ形式にしたものに過ぎません。いわば偽ブログです。今日付のが正真正銘の最初のブログです。いつまで続くか分かりませんが、法務翻訳を含む「法務世界」にテーマを絞って行きます。よろしくおつきあい下さい。

一昨日まで2週間ほど、車を借りて男三人でドイツを旅してきました。仲間が撮った写真を景気づけに貼り付けていきます。

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皆さんは契約書でよく使われる “and/or” という英語表現をご存知でしょうか? 普通の英語ではあまり見かけません。例えば、 “A and/or B” とあれば、その意味は、「AとBの両方」と「AかBのいずれか」を指すと言われています。よく使われます。はびこっている、と言ってもよいくらいです。ちなみに今調べたところ、私が一番最近翻訳した16ページの英文契約書では17回登場しています。

これに触れているプロの翻訳者の方々のブログをいくつか見たことがあります。そこで少しびっくりしたのは、 “and/or” をそのまま「および/または」と訳してはいけない。「および/または」は避けましょうと諭したり、「および」か「また」か、どちらかにしましょうと言う意見が少なからずあることでした。

私は格別の理由がなければ、いつも「および/または」と訳しています(特に英語が正文で和訳は参考文書に留まる場合)。

実は、 “and/or” という表現はそもそも米国でも曖昧過ぎると非難されている「問題児」です。有名な法律用語辞書でも、この表現をけなした上で “the only safe rule to follow is not to use the expression in any legal writing, document or proceeding, under any circumstances.” と主張する論文を引用している程です(A Dictionary of Modern Legal Usage. (Oxford University Press, 2nd edition, 1995), page 56)。

つまりこれは翻訳者の問題というより、この文章作成者(多分弁護士)の問題というべきでしょう。しかし、そのような英文契約書が大量に生み出されているのも事実なのです。私もキャリアの半分は法務担当者として契約書の作成や交渉にあたってきましたので、裏の事情もよく分かります。

何故、私が深く悩むこともなく「および/または」と訳しているのか。実はその理由の一つには、小説、詩、学術論文、広告キャッチコピー、等々、あまたある文書の中で、契約書だけが持つユニークな特性があります。

時間が足りませんので、これについては次回の書き込みをお待ち下さい。

 

 

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