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法務翻訳に法律知識・法務経験は必要か?

2015年2月5日

このところ日経産業新聞で「レクチャー 契約書のポイント」という記事が連載されている。

みらい総合法律事務所の横張弁護士が書かれている。今日で7回目だ。

いずれも法務の専門家にとっては目新しいものではないが、営業職をはじめ他の職種の方には大変参考になるのでは、と思う。

法務翻訳という仕事を紹介する本やホームページで「法務翻訳には法律の知識は必要ありません。文章も定型的なものが多いので思うほど難しくないです。」というコメントを見る。英文契約書の入門書も最近は本屋で沢山みかけるが、そこで並べられた例文も、確かに定型的なものが多い。

やや違和感を覚える。

法務翻訳をするのに例えば債権の時効消滅期間が何年か、などという知識は確かに不要だ。そんなことは調べればすぐ分かる。しかし、法律の体系や構造、用語の意味やその使い方の理解は、絶対不可欠とは言わないが、知っているのと知らないとではこなせる仕事のレベルに随分と開きが出るのは間違いない。

少なくとも横張弁護士の記事の内容くらいは把握していないと、翻訳会社に登録はできても、一般企業の法務部や法律事務所をダイレクトクライアントにすることは無理だと思う。私もかって企業の法務部にいて翻訳を発注する側にいたので良く分かる。

法務や契約実務に疎い人が翻訳したものは、最初のページを読むだけでその素性が分かる。筆を入れ始めると止まらなくなり、それこそ最初から自分で翻訳したほうがまし、ということが何度もあった。

誰にでも最初の一歩というのはある。間口が広いのはいいことなので、いろんな人がチャレンジすることは歓迎だ。しかし上のレベルを目指すのであれば、法務的な知識を重ね、センスを磨くのが不可欠だと思う。

この意味で、特に英文和訳の場合は、既に法務の知識とセンスを備えた法務経験者の方が、法務未経験の英語プロの方よりも法務翻訳には入りやすいかもしれない。

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