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消費者目線で英文契約を読み解く

2019年4月24日

先日、朝食にカルビーのフルグラを食べました。1食分50グラムの小さな袋です。その袋の開封口にこんな注意書きがありました:『開封時に切り口で手を切らないようご注意ください』。袋は手や指を切りようもないほど柔らかいのですが、今はこういう注意書きが付くのですね。昔はこんな告知はありませんでした。しかしトラブルやクレームを経て、企業側も包装やマニュアル、そして契約書などに消費者対策を施してます。

さて日本企業が英文契約に遭遇する場合、そもそも英語で書かれてますし、準拠法は相手国の法律というのがほとんどです。大企業に対峙する消費者のような弱者の立場にある、と言えないでしょうか。ということで、消費者目線で英文契約を捉えるのも面白いと思います。

その英文契約、特にアメリカの契約はさまざまな消費者問題にさらされ、多くの契約条項がunconscionableであるとして否定されてきた歴史があります。

Unconsionableは「非良心的」と訳されますが、英米法辞典(東京大学出版会)は “Unconsionability” という項目を立て、次のように説明してます。

『非良心性

□エクイティ裁判所(equity courts)は良心に衝撃を与えるほど不公正で非良心的な契約にspecific performance(特定履行)などのエクイティの救済を与えることを拒んできた。このような非良心性は、とくにアメリカの裁判所で契約の全部または一部の実現を否定する根拠とされるようになり、UCC§2‐302は裁判所は非良心性を理由に契約自体または契約中の条項の実現を拒むことができると規定した。[中略]判例上、非良心性は一方当事者に実質的な選択の余地がなくかつ契約内容が相手方当事者に不当に有利な場合に生じる。前者は、手続上の非良心性で、悪辣な取引手段、微細な活字や難解な文言の使用、契約内容検討時間の不存在、交渉能力の差、当事者間の取引事情等で契約内容の理解と自由な意思を欠く場合に成立する。後者は、実体上の非良心性で、一方当事者から契約の全利益を奪いまたは相手方当事者に不履行の完全な免責を認めるような、契約が一方当事者に抑圧的となるほど不利で相手方当事者に不当に有利な場合に認められる。[後略]』

上記のように多くの判例で企業側が仕込んだ条項が無効とされました。勿論、優秀な企業側弁護士は対策を立てます。それが今や、消費者相手の契約のみならず、企業間の契約にも反映されてます。

日本企業の法務スタッフが目にする英文契約はこのような経緯を経て作成されたものです。

では次回以降、具体的にどんな条項に対策の痕跡が見られるのか、述べていきたいと思います。

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