「賞味期限」と「消費期限」
2016年1月31日
先日、とあるモーニングショーで賞味期限と消費期限が話題になっていました。
男性ゲストが「賞味期限はよくみるのですが、消費期限が書いてあることはあまりないのでは?」と質問しました。すると解説をしていた専門家は、少し憮然とした表情で、「どの食品にも書いてありますよ」と述べ、消費期限の方が賞味期限よりも短いことを説明しました。
するとゲストが「えっ?」と腑に落ちない顔をしました。
テレビではしばらく二人の話が噛み合いません。
専門家は『この人、何を言っているのだろう?』という目つきで、「消費期限はすぐ来ます。賞味期限はもっと余裕があります」と述べてます。
そこで私も気付きました。二人は違うことを考えていると。
ゲストの方は、一つの商品に「賞味期限」と「消費期限」が書かれる、と思っていたのでしょう。正に私もこの番組を見るまで、そう思ってました。
ところが事実は違うのです。商品には「賞味期限」と「消費期限」のどちらかしか記載されてないのです。この番組の後、スーパーに行ってこれを確かめました。
おにぎりや弁当など、すぐ食べなければならないものには「消費期限」が記載されます。しかし「賞味期限」はありません。
逆にレトルト食品、缶詰やラーメンなど、保存が効くものには「賞味期限」の記載はありますが、「消費期限」はありません。
私は単純に全ての商品に「賞味期限」と「消費期限」が並記されていて、当然「消費期限」の方が「賞味期限」より遅い、と思っていました。ゲストの方もそう思っての質問だったのでしょう。
いずれにしても、ゲストと専門家は、全く異なる意味、異なる前提でこの言葉を使っていた訳です。昔、企業法務にいたときに契約交渉の場でこんなシチュエーションがよくあったな、と懐かしく思い出しました。
英語で「賞味期限」は “best before”、「消費期限」は “use by” というようです。オーストラリアNSW州Department of Primary Industries のこちらの解説が分かり易いです。
‘use-by’: foods must be eaten or thrown away by the date
- After this date foods may be unsafe to eat even if they look fine because the nutrients in the food may become unstable or a build-up of bacteria may occur.
- It is illegal to sell foods after a ‘use-by’ date.
- Common ‘use-by’ foods include milk, sliced ham and shaved meats.
‘best before’: foods are still safe to eat after the date as long as they are not damaged, deteriorated or perished
- The ‘best before’ date simply indicates that the product may lose some of its quality after this date passes.
- Foods can be legally sold after a ‘best before’ date as long as they are not damaged, deteriorated or perished.
- You can expect these foods to retain their colour, taste, texture and flavour as long as they are stored correctly.
- Common ‘best before’ foods include canned foods, cereals, biscuits, sauces, chocolate, sugar, flour and frozen foods.
出典:
http://www.foodauthority.nsw.gov.au/fp/understanding-labels/best-before-and-used-by-dates
ところで生卵には「消費期限」と「賞味期限」のどちらが記載されているかご存知ですか?