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表記の揺らぎ

2016年1月25日

表記の揺らぎ、といっても大したことを言っている訳ではありません。暇つぶしに読んでいただければ結構です。

皆さんは「データ」派ですか?「データー」派ですか?

英語のカタカナ表記はかなり揺らぎがあります。

computer も「コンピュータ」と表記する場合もあれば「コンピューター」と表記されることもあります。契約書に出てくるものだけを拾っても「ディストリビューター」と「ディストリビュータ」、「ライセンサー」と「ライセンサ」、「ライセンシー」と「ライセンシ」。等々。

カタカナ以外にもあります。

契約書ですと、「および」と「及び」、「または」と「又は」などがその例です。「但し」というのは “provided, however, that” の訳語として頻繁に出てきますが、「ただし」と全部ひらがな表記となることもあります。

語調の揺らぎも無視できません。「ですます調」か「である調」かの違いです。

あと、数字表記の揺らぎもありますね。12345と 12345 はとても印象が異なりますね。英語表記の揺らぎだって結構目立ちます。English と English の違いは大きいです。これらはいわゆる「半角」と「全角」の違いですが。

もう一つ次元の異なる「揺らぎ」に、段落番号の自動設定の有無があります。ワードには「箇条書きと段落番号」というツールがあり、段落番号の割り振りを自動的に設定できます。クライアントからワード形式でいただく書類には、設定されているものもあれば、全く設定されていないものもあります。設定される箇所と設定されない箇所が混じる書類もあります。この場合「揺らぎ」があると言えます。私は自分で書類を作成するときはこの設定をしません。予想外の動きをすることがあるので避けるようにしています。とある大手渉外法律事務所の翻訳責任者も、自分の事務所ではこの設定はしないとおっしゃってました。

 

さて、私も契約書の類はそれこそ何千件とこれまで目にしてきました。英語圏では、法律の訓練を受けていない人が契約書を作成することは希です。従って契約交渉時に俎上に載る英文契約は、体裁も文章も表面上はちゃんとしています。揺らぎもあまりありません。概ね “consistent” です。

一方、日本のビジネスの場合、皆さんご存知の通り契約書は必ずしも弁護士や法務部員が作成している訳ではありません。法務部がない会社の場合、総務部や他の管理部門の担当者の方が作ることが多いでしょう。事業部が契約交渉の前面に出ている場合は技術者や営業担当者が作成することもあります。

これらの法律専門外の方が契約書を作成するとき、この揺らぎを極力なくすだけでも効果があります。私の経験から申しますと、「揺らぎ」があると、相手に甘く見られます。「この会社には法務部がない。あっても個々の取引までは見ていないな」と思われると契約交渉には不利です。特に相手の交渉チームにばりばりの法務部員が参加しているときなど。

一括置換で「および」を「及び」に変えたり(またはその逆)、英文・数字表記を半角で統一するだけでも文書が引き締まります。

 

お薦めです。

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