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人絡みの微妙な表現

2015年1月17日

「もとの日本語の単語と、訳文の英語の単語は必ず一対一で対応するようにして欲しい。」という無理な注文をとある顧客から受けたことについて以前触れたことがあります。こちらです。

これが「無理な」注文だ、という根拠はいろいろあります。一つ最近の例をあげます。

とある企業買収関連の契約書を英語から日本語に訳したときのことです。

契約書の中に “transfer” とあるので、とりあえず「譲渡」と訳しました。一方当事者の事業を相手方当事者に譲渡する契約ですから、譲渡の話が出てくるのは当然です。

深く考えず、“Transferred Assets” は「本譲渡対象資産」と訳しました。 “Transferred Agreements” は「本譲渡対象契約」、 “Transferred Business” は「本譲渡対象事業」等と、どんどん訳していきます。

そのうち、 “Transferred Employees” というのが出てきました。ここではたと考えました。今までの流れなら「本譲渡対象従業員」となりますが。

これじゃ、まるで「物扱い」では。契約書が当の会社の従業員の目に触れることもあるでしょう。その時、「譲渡対象」と表現されているのは流石にまずいのでは、と思いました。

となると少し工夫が要ります。例えば「本転籍対象従業員」とか、「本移管対象従業員」なら、まだ許せるかもしれません。ということで、そのどちらかにした記憶があります。

こういうセンスは翻訳の場合も結構大事だと思ってます。翻訳といっても、全てが機械的に出来るわけではない、という一例でした。

 

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