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前文または Whereas Clause

2019年3月28日

先日のブログでEntire Agreement 条項に触れました。

その時に、契約締結前に行った口頭・書面の合意をどうやって最終契約に盛り込むか。それについて書きますと約束しました。

しかしその前に、これも英文契約で特徴的な前文について触れておきたいですね。英語では“Recital”、“Witnesseth Clause” または“Whereas Clause” と呼ばれます。

この前文は日本の契約には通常ありません。これは何だ、と違和感を覚える方も多いのではないでしょうか?概ね半ページほどのものですすが、時には1ページくらいスペースを取ることがあります。膨大なやりとりや文書が絡むプラント建設契約ではこの前文が数ページに及ぶこともあります。

これも“Entire Agreement” 条項、更にはその裏付けとなる“Parol Evidence Rule” がもたらすものです。

契約の解釈にあたっては、契約に至った経緯や背景の検討が必要となることがあります。しかし“Entire Agreement” 条項があるため、契約書に盛り込まれない限り、契約外の情報は排除されます。つまり、経緯や背景が一切考慮されない、という事態が起きます。これはどちらの当事者にとってもちょっと都合が悪いことがあります。そのため、契約書の本文に入る前に、経緯や背景について簡単に触れる必要性が生ずる訳です。

日本の契約では、そのような経緯や背景についてわざわざ契約書の中で触れなくても、契約外の証拠や情報を裁判所は「自由裁量」に基づき検討します(自由心証主義)。従ってこのような「前文」を特別に置く必要性は薄いと言えましょう。

ということで、英文契約書の冒頭に置かれる「前文」と、一番最後に置かれることが多い“Entire Agreement” 条項が実は密接に関連していて、契約書をサンドイッチのように夾んでいると言えましょう。

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