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Compliance with Laws 条項の意義とは?

2020年10月29日

昨日の続きです。一見すると Governing Laws と何が違うのかと思う Compliance with Laws 条項ですが、私が考えるにその存在意義は大きく2つあります。

一つが相手方が何らかの法令違反をしたときにトラブルなく契約を解除できるようにすることです。

???と思われるかもしれません。相手が法令違反、例えば独禁法とか建設業法とか、何かちゃんとした法令に違反すれば、こちらは当然契約解除できるのではと思われる方もいるかもしれません。しかしなかなかそうは問屋が卸さないのです。例えばA社とあなたの製品の代理店契約を結ぶとします。契約に基づくA社の義務はあなたの製品の売込、販売、販売促進をし、製品を最終顧客に届け、トラブルがあればその対応をし、そして勿論代金をあなたに支払うこととします。A社はこれらの義務をちゃんと履行し、あなたにとって完璧な代理店です。

さて、そのA社があなたのビジネスと関係ないビジネスで法令違反を問われるとします。独禁法でも、何かの業法でもいいですし、それこそ反社会的勢力の関与でもいいです。新聞沙汰にもなり、あなたとしては放っておけません。いかに模範的な代理店で、自社にとって大きな利益をもたらすとしても、こちらまでとばっちりが来ればむしろ損害です。

そこで代理店契約を解除し、関係を絶ちたいと思います。しかし契約期間はまだたっぷり残っています。期間満了までは待てません。では法令違反を理由に契約解除しようとしても、Compliance with Laws 条項がなければ、契約上の根拠がないのです。民法には信義誠実義務があるし、確か契約書の冒頭にも「誠意をもって契約を履行する」とあるので、それを根拠にしようとしても、A社は他でトラブルに巻き込まれているにも関わらず、あなたとの契約は、なんら義務違反なく完璧にこなしてますし、誰が見ても「誠意をもって」履行してます。

さて、契約解除の正当事由があなたにあるでしょうか?

なかなか難しいでしょう。

この Compliance with Laws 条項がない限り。

私が記憶する限り、昔の日本の国内向け契約には Compliance with Laws に相当する「法令遵守」条項は稀でした。では上記の例のような事件が起きた時はどうしたのでしょう?私は個人的にそのような案件を担当したことがないので具体的な例は紹介できませんが、おそらく日本の契約に必ず入っている「協議条項」を発動して、まるく収めたのではないでしょうか?

ところで、包括的な Compliance with Laws は昔の日本(今から20年ほど昔を想定してます)では稀でしたが、輸出管理法令の遵守に限っては、1980年代後半に生じた「東芝機械ココム違反事件」以降は、多くの企業がその基本契約に「輸出管理法令遵守条項」を入れてます。今の若い法務スタッフの方々はもうこの事件は知らないかもしれませんが、日本の契約書作成慣行に大きな影響を与えた事件でした。

 

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