Home

会社概要

業務案内

Compliance with Law を利用した屁理屈

2020年11月4日

Governing Law や Compliance with Laws に絡む話が続きますが、そろそろおしまいにしましょう。

これはとあるクライアントから聞いた話です。

この方、A氏としましょう。A氏はもう20年以上当社のクライアントで、私は契約、特に英文契約に関するコンサルタントをしてます。

A氏は法務スタッフではなく担当はマーケティングや経営企画です。しかし小所帯の会社なので契約もこなされてます。会社は海外、特にアメリカの企業からソフトウェアのライセンスをもらい、国内企業にサブライセンスするビジネスをしてます。

とある企業(X社としましょう)との契約交渉で困ったことがある、と電話がありました。X社は日本のそれなりの大手企業で、A氏の会社を通してとあるアメリカ企業のライセンスを受けるというような話だったと思います。細かいことはもう忘れましたのであしからず。

ご存知の通り、日本企業の多くは取引開始にあたって口座開設を求めることが多く、その手続の一環として基本取引契約の締結を求められるのが普通です。今回のようなソフトウェアのライセンスのビジネスでも、取引には変わりありません。なので、X社の担当者は同社の雛形契約の締結を求めてきました。A氏としてもこれは断ることはさすがにできません。しかしサブライセンス契約との齟齬が生じますので、雛形条項に対して変更案を提案したとのことです。普通によくある展開です。

その際、具体的には製造物責任条項だったと思うのですが、X社の雛形では業者は納品物が原因で製造物責任の問題が生じた時には、業者が全面的に責任を負うとなってます。A氏としては、ライセンサーもそんな責任は負いませんし、かといって会社として単独で負う訳にはいきません。ということで、製造物責任からは全面的に免責される、という申し入れをしました。すると相手はこう言ってきました。

「この契約書の準拠法(Governing Law)は日本法だ。したがってアメリカの法律ではなく日本の法律が適用される。加えて法令遵守条項(Compliance with Laws)があるから貴社は日本法を遵守する義務を負っている。この契約書でいう製造物責任は日本の製造物責任法が定めているものだから、貴社としてはこれを遵守する義務がある。したがって修正は認められない。」

A氏としてもこのロジックがそれなりに筋が通っているように思え、反駁できなかったということでした。

なかなか面白いケースです。どう反論すればいいのでしょう?

それについては明日書いてみたいと思います。

«

»

ページの先頭へ